コラム / 弁護士コラム

新しい試み——北京市電子商取引分野における専利権侵害紛争迅速処理規程(試行)

2019-10-14

著者:高天楽

2019年9月12日、北京市知識産権局、北京市高級人民法院が主催し、北京知的財産保護協会、電子商取引分野知的財産保護連盟が運営を担当した『電子商取引法』及び電子商取引の知的財産保護フォーラムが開催されました。

簡単なフロー

1 フォーラムのハイライトの一つ
フォーラムでは、北京知識産権局の代表が先日発表された『北京市電子商取引分野における専利権侵害紛争迅速処理規程(試行)』を紹介しました。この規程は2019年9月1日から施行され、全文は18条ありますが、内容を簡単に抽出し、紛争審理範囲、申立資料、処理手順、処理結果などを紹介しました。

(一)紛争審理範囲
登録地または主要経営所在地が北京市行政区域内にある電子商取引プラットフォーム経営者が、当プラットフォーム内で発生した専利権侵害の申し立てについて、案件が複雑であると判断した場合、申立側と被申立側とが書面で同意した後、案件を北京市知識産権局に移管して迅速に処理することができます。当事者は専利権侵害分紛争を人民法院に起訴するわけではありません。
(二)申立資料
電子商取引プラットフォームが迅速処理を請求する案件が、実用新案または意匠に係る場合、申立側は登録原簿副本または当年専利年金納付領収書を提出して専利権の有效を証明し、また特許権評価報告書を提出して、その安定性を証明しなければなりません。
(三)処理手順
北京市知識産権局は電子商取引プラットフォームから引き継いだ全ての資料を受領した日から5労働日以内に、規定に合致しないと判断した場合、案件を電子商取引プラットフォームに返却します。市局が規定に合致すると判断した場合、当事者の意向に基づき調停を行い、また5労働日以内に調停合意書を作成します。調停合意に至らなかった場合、市局は立案の日から45日以内に結審し、案件が復雑な場合は、15日を上限に期限を延長できます。
処理過程において迅速手続に適用しないことが判明した場合、北京市知識産権局は当事者に通知して普通専利行政調停手続きに変更し、当事者が同意しない場合、案件を電子商取引プラットフォームへ返却します。
(四)処理結果
北京市知識産権局が侵害行為が成立すると処理決定で判断し、且つ侵害者に権利侵害行為を直ちに停止するよう命じる必要がある場合、直ちに停止を命じる権利侵害行為のタイプ、対象、範囲を明記しなければなりません。権利侵害行為が成立しないと判断した場合、請求を却下しなければなりません。この処理決定には北京市知識産権局紛争調停専用印が捺印され、且つ訴訟の可能性を具備します。
なお、専利業務管理部門または人民法院がすでに権利侵害認定を出している状況において、権利侵害者が同意した専利権に対して再度同様の権利侵害行為を行った場合、北京知識産権局は5労働日以内に直接権利侵害行為を直ちに停止することを命じる処理決定を出すことができます。

2 BEIPの実務経験
BEIPはこれまでの業務において、電子商取引プラットフォームの専利権利侵害申し立てに係る業務を取り扱ったことがありますが、案件によっては、電子商取引プラットフォームがなかなか判断を出さず、専利権人とプラットフォーム内経営者との間で何度も「通知-反通知」を繰り返し、プラットフォーム側は申し立てを確実に処理しようとする努力は見られましたが、結果的に全体の手続きが行き詰まりました。また、結果として、専利権人はプラットフォームへの申し立てを取下げ、専利行政法、専利民事訴訟手続きへの移行を選択する可能性も多いにあります。
BEIPは前述の状況は、大多数の申し立て通知の処理結果を代表するものではないが、また電子商取引プラットフォームでの専利権侵害申し立て処理の限界を反映しており、関連紛争の迅速で効率よく解決を促進し、また過度に各当事者のコストが増加しないように、客観的な外部の力の介入も必要だと考えています。

3 BEIPの楽観的展望
BEIPは、この規程は『電子商取引法』の更なる実施に対して、現行の枠組みの下で、電子商取引分野の専利権利侵害判定效率の向上に努めることは、良好なビジネス環境を生み出すための有益な試みであると考えています。この規程は北京市内の電子商取引プラットフォームだけでなく、関連する専利権人、プラットフォーム内の経営者に、新たな選択を提供し、知財弁護士/弁理士の業務価値を真に向上させ、実務において積極的な建設作用を果たすと信じています。

BEIPはクライアントに優れた知的財産サービスを提供することに力を注いでおり、ベテランの国内及び国際知的財産専門家を有し、専利などの知的財産紛争解決の豊富な実務経験を持ち、クライアントの様々なニーズを満足させる意欲と能力があります。幅広い専利権人、電子商取引プラットフォーム、プラットフォーム内経営者と、『北京市電子商取引分野専利権利侵害紛争迅速処理規程(試行)』について交流協力を展開できたらと考えております。

所員の紹介