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抜け駆け登録された「face book」商標が却下され、アメリカ「FACEBOOK」商標の所有者が勝訴

2016-04-28

執筆者名:程颖

先日、北京市高級人民裁判所は「face book」商標の異議再審事件に対して二審判決を行い、出願人の「face book」を登録した行為は明らかな他人の高い知名度商標をコピー、盗作した故意があり、通常の商標登録管理秩序を乱し、公正競争の市場秩序を損害し、公序良俗原則に反すると認定した。これにより、北京市高級人民裁判所の二審は一審の商標評審委員会に登録を承認した裁定を取り消し、改めて裁定することを請求した判決を維持し、「FACEBOOK」商標権所有者のアメリカフェイスブック社は勝訴した。

2011年1月24日、劉紅群は国家工商行政管理総局商標局(商標局と略称する)に「face book」商標(被異議商標と略称する)の登録出願を提出し、第29類の「野菜缶詰、ポテトチップス」、第30類の「コーヒードリンク、茶類飲料、キャンディ」、第32類の「ジュース(ドリンク)、アイス(ドリンク)、野菜ジュース(ドリンク)」などの商品に使用することを指定した。

被異議商標が初歩的検定を経て公告された後、法定の異議申立期間中、「FACEBOOK」商標の所有者であるアメリカフェイスブック社は商標局に商標異議申立書を提出した。商標局は審査を経て、被異議商標の登録を承認すると裁定した。フェイスブック社は該裁定を不服として、2013年4月2日に商標評審委員会に異議再審請求を提出した。

2014年4月15日、商標評審委員会は裁定を下し、フェイスブック社は「FACEBOOK」を商号または商標としてジュース(ドリンク)などの商品に関する生産経営分野に先願使用し一定の影響を生じたことがあるとの証拠がなく、この場合、被異議商標の出願登録がフェイスブック社の先願商号の権益を損害したと認定できず、被異議商標は不正手段で他人がすでに使用し一定の影響を有する商標を抜け駆け登録したとも認定できないため、被異議商標の登録は商標法第31条の規定に反しないと判断し、被異議商標の登録を承認すると裁定した。フェイスブック社は不服として、行政訴訟を提起した。

一審裁判所は、商標評審委員会が下した起訴裁定は主要証拠が足りないと判断したため、起訴裁定の取り消しを判決し、商標評審委員会に改めて裁定することを請求した。

劉紅群は不服として、上訴した。劉紅群は、今まで日用消費材業界で働き、商標法の関連手続きにより黒人、「face book」などの商標を登録出願し、且つ「黒人」商標の2004年における知名度は既に先願判決から認定されたため、商標法を違反した状況が存在しないと主張した。

北京高級人民裁判所は、商標法第41条第1項の規定によれば、既に登録された商標は詐欺手段又はその他の不正手段で取得し登録したものであり、商標局により該登録された商標が取り消されれ、その他の法人又は個人は商標評審委員会に該登録商標の取り消しを請求することができると判断した。該条項に規定の立法精神は、公序良俗原則に徹底に従い、良好な商標登録、管理秩序を維持し、良好な商標市場環境を構築することにある。該条項に規定の文章の意味によれば、既に登録した商標の取り消し手続きのみに適用することができ、商標の出願審査及び承認手続きには適用しない。しかし、商標出願審査及び認可手続きにおいて発見された詐欺手段又はその他の不正手段で商標の登録を出願した行為に対し、制止せず、商標登録手続きが完成した後に取り消し手続きを起動して規制すると、前記不正登録行為を適時に制止するよりも明らかに不利である。従って、前記立法精神は、商標出願審査、承認及び取り消し手続きを終始一貫すべきである。商標局、商標評審委員会及び裁判所は、商標出願審査、承認及び該当の訴訟手続きにおいて、商標登録出願人が詐欺手段又はその他の不正手段で商標登録を出願することを発見した場合、前記規定を参照し、不正商標登録出願行為を制止することができる。

本件において、劉紅群は複数の商品カテゴリに「face book」商標を出願登録し、更に第29類の商品に「黒人」、「壱加壱」などの商標を登録した。劉紅群の前記一連の商標登録行為は明らかに他人の高い知名度商標をコピー、盗作した故意があり、通常の商標登録管理秩序を乱し、公正競争の市場秩序を損害し、公序良俗原則に反している。同時に、中国は商標登録制度を採用し、先願主義原則に基づいて商標の登録が承認されたか否かを審査しているが、商標自体の価値は商品とサービスの由来を区別する標識であるべきであり、商標の登録は使用の意図があることを前提とすべきであり、それによって初めて商標自体の価値を発揮することができる。出願人が商標を買い占めさらに譲渡などの方式で商業上の利益を図ることを目的とし、他人の高い知名度を有する商標を大量に登録出願する場合、商標の内在価値に明らかに違反し、商標の通常の登録秩序にも影響し、引いては商標経済における誠実且つ信用を守る事業者の正常経営を妨げることにつながるため、このような大量に抜け掛け登録し、通常の商標登録管理秩序を乱すことを目的とする行為は制止すべきである。商標法第41条第1項の詐欺手段又はその他の不正手段で商標登録を取得することを禁止することに関する立法精神を参照すると、本件の被異議商標の登録出願は承認すべきでない。原審判決はこれに対する認定が正確であり、本裁判所はそれを確認した。劉紅群のかかる上訴理由は事実及び法的根拠が足りず、本裁判所は支持しないこととする。

以上により、北京高級人民裁判所は原審判決の認定は事実が明らかであり、適用した法律が正確で、手続きが合法的であり、維持すべきであると判断し、上訴を却下し、原審を維持すると判決する。

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