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バーチャルキャラクターの著作権保護の若干の問題

2019-08-27

主催者には準備していただき大変感謝いたします。司会者にも感謝いたします。講演の先生方、ご来賓の皆様と本日意見交流できることをうれしく存じます。本日、私が共有させていただくのは『バーチャルイメージの著作権保護の若干の問題』で、つまりバーチャルイメージに対する著作権保護及びその他の観点の保護からの大まかな枠組み的な考え方です。発表の前に、まず皆様に簡単なデータをご紹介します。これは国際ライセンシング・ビジネス協会からの統計データですが、2018年全世界のライセンス商品の小売額は2803億米ドルで、非常に大きな産業であることがわかります。主な販売ルートは、実体店が79%、オンライン販売が21%を占めており、オンラインの割合はまだ思ったほど大きくないかもしれませんが、オンライン小売商品の形態やルートがますます多くなっていますので、割合はまだ変化する可能性があります。私たちの本日のテーマと関連しているのはエンターテインメントとキャラクターで、2800億米ドルの中の43.8%の割合、1227億米ドルを占めていますので、バーチャルキャラクターを派生品にライセンスし小売りを行う、この産業はすでに非常に大きな産業チェーンになっています。現在はまだ中国市場のデータの正確な統計及び小売商品以外のライセンス方式の統計は得られていませんが、非常に大きな額であることは間違いありません。

よく見られるバーチャルイメージの商業化運営方式は、ほとんどがオンラインゲームで、バーチャルイメージをオンラインゲームのキャラクター、画面、ビデオ、ライブ配信にライセンスし、例えばスタンプとか、または小売商品、実写映画などもあり、80年代に有名だったひょうたん兄弟(葫芦兄弟)のように現在映画撮影を準備しているものや、テーマパークもあります。全体的には、バーチャルイメージは様々な方式で商業化の運営が行われており、その著作権保護に係る可能性があり、その他のタイプの知的財産権権益タイプの保護も含まれます。

本日皆様と共有する第一部分では、バーチャルイメージのおおよその分類と作品の出典を簡単にご覧いただきましょう。これらは皆様が比較的よく知っているイメージで、ゲームキャラクターのマリオとか、あとはアニメキャラクターの狂ったウサギ(疯狂的兔子)など、PPTのすべてのイメージを一つ一つ並べませんが、そのうち漫画、映画、玩具、文学、映画からのイメージ、いわゆる「バーチャル」イメージは、実在の人物とは区別され、実在の人物のイメージに関する権利は民法における肖像権、氏名権、権利侵害責任法などの法律の保護がありますが、こちらは本日のテーマではありません。バーチャルイメージには人物イメージ、動物イメージ、また非生物類イメージがあり、トーマス列車とか、あとミニオン、バーチャル歌手、またファッション要素、道具要素を含むなど、いずれも非常に多角的なバーチャルイメージの範囲です。

第二部分ではバーチャルイメージの要素の多くはどの種の作品タイプで保護を主張しているかを見てみましょう。比較よく見られるのは美術作品、文字作品で、美術作品は『著作権法』の保護を受けているので一般的には問題はありません。文字作品、中でもイメージの名称は独創性の高さからいうと十分に『著作権法』の保護を受けられているでしょうか。この論争は比較的多く、米国判例法において確立した方法を参照し、司法実務ではこれらの方法は判決の中に適用される可能性があり、一つには明確な描写基準であり、バーチャルキャラクター、例えば普通のウサギまたは普通の猫は『著作権法』の保護を受けられるのかというと、もし明瞭な描写と一貫性があれば保護されます。続いては判例を紹介します。キャラクターによって保護されるものとされないものがあります。またキャラクターがすなわちストーリー基準で、キャラクターとストーリーが十分に分離できるかどうか、ストーリーを述べるためのツールとしてだけではなく、またイメージ基準が完全か、外見において識別できる個性が必要で、完全なイメージを形成しているかが考慮されます。実務においてこのいくつかの基準の具体的な区分はそれほど明確な境界はないかもしれません。この後判例を見るとわかるでしょう。

これまで作品タイプについて述べましたが、それでは権利の内容からいうと、バーチャルイメージの著作権保護は、人身権の観点から、主に作品の完全権を保護することに係り、財産権には主に複製権、改編権、発行権、情報ネットワーク伝達権などがあります。

続いて、判例をいくつかご紹介します。皆様はこれらの比較的典型的な判例を見たことがあるかもしれません。一番目の判例はQ版孫悟空の判例で、Q版孫悟空を美術作品として認定し、某クリエイティブ会社はこのイメージを立体銅像として販売し、法院は複製権の侵害、即ち立体の方式で独創的表現を再現することは複製を構成し、さらに、許可を得ずに販売することは発行権の侵害であると支持しました。これはバーチャルイメージ派生品の比較的典型的な判例です。

つぎの判例は『大掌門』ゲームです。「四大名捕」などの人物名称が温派小説の重要な表現と判断し、被疑ゲームは人物特徴と人物関係によって、原告のイメージを表現し、独創的表現の改編に属します。原告は同時に不正競争行為を主張したが、法院は模倣行為とは認定せず、読者に連想させることはないと判断し、したがってこの人物と小説が生み出す混同識別の根源については、つまり商業標識法に基づく利益です。

3つ目『この間の少年』(此间的少年)は同一主人公作品の典型的な判例です。作品は金庸氏の小説と同一の人物名称を使用し、キャラクターとストーリーに基づいて、司法では人物名称は独創的表現を構成するとは認定せず、人物名称はただのツールであると判断し、『この間の少年』はあらすじにおいて金庸氏の作品を複製していないため、金庸氏が主張する改編権などは支持されませんでした。しかし、この判例は不正競争行為第二条雑則条項を用いて、金庸氏の作品に対して保護を行い、被告の使用方式は公認された商業道徳に反し、不当に比較的大きな商業利益を得たと判断されました。

4つ目の判例は『鬼吹灯』で、これも著作権では保護されませんでした。理由は、人物イメージが十分に独特の表現を獲得しておらず、ストーリーを離れた人物名称と関係が非常に簡単で、著作権の保護を受け難いです。この判例においても不正競争行為法は重要な作用を発揮し、当時の反法第九条が認定した虚偽宣伝行為によって、原告は商品特有名称を主張したが、支持されず、原告は使用によって指向関係、人物名称を確立していないため、出所を識別する役割を果たしておらず、当然これはこの案件において原告はこのような方式にしたがって使用しておらず、したがってこの判例では支持されませんでした。

判例5は、『私はMT』(我叫MT)の中で5つの人物イメージがあり、判決書は非常に詳細の論述を行い、ツール、人物の外見特徴から、最終的には衣装と武器の差が比較的大きく、顔の特徴は実質的な区別はなく、不正競争行為はこの5つの人物名称が知名サービス特有の名称を構成すると一部支持しました。

判例6は、原告は著作権、不正競争行為を主張する以外に、単独で商標権侵害を主張し、ゲームの名称は司法実務ではロゴの役割を果たすと判断し、商標権侵害の訴求を支持しました。

これらの判例を基に大まかにまとめました。
1)バーチャルイメージの著作権保護の観点について、米国の判例が確立した三つの基準は中国司法実務においても独創的相対具体化と操作可能性を評価する基準となっている。
2)独創的レベルに達していないイメージ及び要素は『不正競争防止法』の保護を求めることができる。
3)バーチャルイメージの商品化権は法律根拠が不足しているので司法実務において支持され難い。
4)イメージ及び要素は『商標法』の保護を求めることができ、授権、権利保護、権利コンフリクトの解決に便利である。
5)『専利法』に合致する客体を保護する場合は専利法の保護の求めることができ、境界を保護することは明確である。
本日皆様と共有する内容は以上です。ありがとうございました。

 

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